海外で働くのに必要なのは語学力ではない

日本だと英語さえできれば「海外住めるじゃん」みたいな風潮がある。

今リモートで働くなど様々な働き方があり、海外で生活しながら日本からの仕事を受注するとなれば話は別かもしれないが、そういった例外を除いて英語ができれば海外に住めるというのは間違いである。

海外に出てしまうと、英語が話せるというのはスキルの一つとして数えられない、皆当然のように話せるからである。

英語ができるというのは海外に住む上でようやく皆と同じスタートラインに立てたということであり、その上で現地の人たちと競争しなければならない。

つまり語学プラスアルファ何かスキルを持つことが重要となる。

英語が話せるだけではできる職種は限られ、必然的に誰にでもできる仕事をすることとなる。

よって英語ができるというのは海外においてあまり意味を為さない。

むしろ「英語力にだけは自信がある」という人こそ日本に留まるべきである。

というのは日本では英語ができるというのは希少であり、需要があり、稼げるからである。

というわけで釣りみたいなタイトルで申し訳ないが英語が話せるというのは当たり前のことであり、どこに住むにしろ現地の言葉は知っておくべきである。

しかし一部例外があり、その場合必ずしも語学力が必要であるとは思わない。

ずばり、海外で生き抜く上で必要なのは「圧倒的なスキルと経験」である。

これに勝るものはない。

スキルを持っているというのはただ英語が話せる程度の人よりも強い。

イギリス滞在時代、とある知人がいた。

彼も自分と同じくYMSビザでロンドンに住んでいた。

さて、彼の英語力は本当にひどいものであった。

おそらく英語ではほぼコミュニケーションがまともに取れないんだろうなというレベル。

それにも関わらず日本人外国人国籍問わず友達はたくさんいて「普段一体どうやって会話しているんだろうか」と不思議でたまらなかった。

彼のフットワークの軽さ、そして人柄の良さもあるだろう。

そんな彼だが、彼はこの圧倒的なスキルと経験を持ち合わせていた。

結果イギリス滞在中は仕事で無双していて、たくさんのポンドを稼ぎ颯爽と日本に帰っていった。

当時はビザのルールが少し違って帰国以外の選択肢はなかったが、もし今だったら本人さえ望めばイギリスでワークビザも取れたであろう。

もっともおそらく彼にとってイギリス滞在はただの通過点であり、そこに留まることに興味があったとも思えないが。

よって何かスキルを持っているというのは強い。

それプラス経験があることが望ましい。

海外では基本的に日本のように新卒採用のようなものはなく、どんな職においても数年間の経験が求められるケースが多い。

つまり、就労目的で海外に来たとしてもスキルや経験がないと詰んでしまう。

もちろん例外はあって新卒で海外に行き、そのまま現地就職している人もいるので一概には言えないが、あるに越したことはないだろう。

もう一人紹介しよう。彼とはドイツで知り合った。

彼は前述した知人と同様ワーホリで来ていて長期滞在するつもりはそもそもなく、あくまで「海外生活体験」としてドイツに来ていた。

彼は語学学校でドイツ語学習中の身であり、英語もまともに話せなかった。

しかし彼はスキルを活かして職も持っていた。

スキルや経験は時に語学を必要としない力を持っているのだ。

とはいえ、一つ注意点もある。

彼らに共通しているのはあくまで海外での短期滞在であるということ。

1、2年の滞在というのは言ってしまえばちょっとした体験である。

本気でその地に身を置くとなると事情は異なる。

今後長い人生を歩んでいく上で英語、もしくは現地の言葉がわからないというのは辛い。

余計なお世話と言われてしまえばそれまでだが、ずっと日本人コミュニティだけに属しているだけではつまらないであろう。

それに人生生きていると様々な出来事や手続きがあり、それら全てを外国語でこなさなければならない。

つまり、語学は必須である。

ところでお金と時間に余裕があるなら別にスキルは海外でも身につけることができる。

それから仕事を探せばいいという考え方もあると思う。

というのも、ふと思うのだが仮に出国前スキルか語学、どちらかしか習得していないとして「語学を習得してから海外に行き、スキルは後からつける」のか、「スキルを持って海外に行き、語学は後から身につける」のかで考えると後者の方が難しい気がするのである。

もちろんこれはスキルの類いにもよるし、その人の語学力やセンスにもよるのだが、外国語をほぼゼロに近い状態から学ぶというのは本当にしんどい。

結局のところ短期滞在ならスキルを持っている方が強く、長期滞在なら語学力がある方が強いのではないかと思う。