Audibleの朗読で19世紀末英国ロンドンの世界へ【英語でシャーロックホームズ】

理論物理学者スティーヴン・ホーキングのインタビューから学ぶ宇宙と英語【StarTalk / ニール・ドグラース・タイソン】

今回はスティーヴン・ホーキングの話。

スティーヴンホーキングは映画にもなっていて『Theory of Everything(博士と彼女のセオリー)』では彼の半生が描かれています。

邦題である『博士と彼女のセオリー』からもわかるようにこの映画はホーキング博士と元妻であるジェーン・ホーキングの関係を描いたものが物語の中心となっているので、”The theory of everything”という原題から期待して観ると拍子抜けしてしまう人もいるかも。

全然関係のない話になるけどホーキング博士がキャンパス内で倒れ、医師から病名を聞かされるシーンがあります。

このちょい役で出ていたAdam Godley(アダム・ゴドリー)はけっこういろんな映画や海外ドラマ(ブレイキングバッドでもウォルターがドラッグエンパイアを築くきっかけとなった人の役を演じている)に出ています。

そんな彼にはここロンドンで会ったことがあるんですが、非常に紳士な方でまさに”英国紳士”というような印象を受けました。

この映画のキャストでいうと私の友人は主演ホーキング博士を演じるEddie Redmayne(エディ・レッドメイン)に遭遇したことがあるそう。

東京で芸能人を見かけてもなんとも思わないんですが、ロンドンで俳優なんかに遭遇するとテンションが上がってしまうのは不思議です。

そんなこんなで早速本題に。

今回取り上げる動画がこちら。

当ブログではおなじみのニールドグラースタイソンがホストを務める『StarTalk』です。

このエピソードではゲストに天体物理学者のJanna Levin(ジャナ・レヴィン)と物理学者のMichio Kaku(ミチオ・カク)、コメディアンのMatt Kirshen(マット・キルシェン)が出演しています。

今回のエピソードではニールタイソンが事前にホーキング博士のもとを訪れ、インタビューをしています。その質疑応答の内容をもとにスタジオで様々な議論が行われます。

すべての内容は網羅できないので、個人的に気にいったQ&Aの一部を今回は紹介します。

スティーヴン・ホーキングのQ&A

“What’s your favourite food?”

いきなりガチガチの質問からしてもあれなのでまずは触りとして「好きな食べ物は?」という質問を投げかけました。

この問いかけに対し、ホーキングは”Oysters”と答えます。

また好きな飲み物は”Pimm’s”だそう。

出典:Wikipedia

日本人にはあまり馴染みのない飲み物かもしれませんね。

Pimm’s(ピムス)はロンドンでオイスター・バーを始めたジェームス・ピム氏が編み出したリキュールで、フルーツをいれたりして(イギリスだと胡瓜も入れる)レモネードなどで割って飲みます。

宇宙まったく関係ないですが、ホーキング博士の英国人らしい一面が垣間見える回答だったので取り上げました。

ちなみにニールタイソンは「ニューヨークピザ」、そして「ピニャコラーダ」が好きらしい。

(ニュートンに対して)”Are there any questions you might want to hand him to solve?”

「(もしニュートンがここにいたとして)何か質問したいことがあるか?」と聞かれ、ホーキング博士はこう答えます。

“Is the solar system stable? And what happens to a star that cannot support itself against it’s own gravity?”

ホーキング博士がアイザック・ニュートンに質問した事柄はニュートンが踏み込まなかった領域でした。

こういった「理論を発明した張本人でも問題を解決できると知らなかったこと」というのはよくあることらしく、アルベルト・アインシュタインも死後、彼自身が発明した理論によって本人は見つけることのできなかったブラックホールを発見することに成功しました。

ちなみにこの「もしニュートンと話すことになったら」という話題でマットキルシェンはこんなジョークをかまします。(このことについてはTwitterでも書きました)

“Wouldn’t be a crushing disappointment if Newton did come back and just wanted to know about like Tinder?”

これ最初意味がわからなかったんですが、あとからニールタイソンが説明するようにニュートンは生涯童貞だったんですね。

“All evidence shows that Issac Newton died a virgin.”(英語では男性に対してもバージンを使います)

調べてみると「生涯バージンの偉人」は意外と多くてライト兄弟や宮沢賢治、吉田松陰などがそうらしいです。

確かにニュートンが現代にやってきて興味深いものがたくさんあるなか、Tinderについてばかり聞いてきたらがっかりしてしまうかもしれませんね。

“Will we ever have the ability to travel backwards in time?”

よく未来に行くことは可能だけど、過去には行けないなんていいますよね。ホーキング博士の回答がこちら。

“One might hope that we could warp space-time so that one could go off in a rocket and come back in the past, but I have shown that this is not possible if energy density is always non-negative.”

ネガティブエネルギーの話が出てきました。これはまえに「選択」について書いたときに触れましたね。Zero-energy universeの話です。

ミチオ・カク氏がいうにはブラックホールはポジティブエネルギーを持っているといいます。このエネルギーは時空の構造を破りますが、不安定な状態です。これにはネガティブエネルギーもしくはネガティブマターが必要で、これによって安定した状態になるといいます。

ここでも言及されていますが、「過去にタイムトラベル」というと、映画『Back to the future』なんかが有名ですが、こういったことは起こりません。

過去に戻って起こった出来事を変えようとしても、それはなかったことになってしまいます。(例えば誰かの暗殺なんかを阻止しようとしてもそれは別人だったということになってしまいます)

このように「起きる出来事の因果関係の順序を守るという自然界のシステム」があるという仮説をChronology protection conjecture(クロノロジープロテクションコンジェクチャー)といいます。(マニアックすぎて日本語で調べても出てきません。笑)

(ホーキング博士の”人類への警告”に対し)“Isn’t it easier to deflect an asteroid easier to find a super serum that will come back any deadly virus than it is to terraform Mars and ship a billion people there?”

(前提知識として)ホーキング博士は人類に対する危機について警告しています。

この動画がわかりやすいと思います

これに対し、ニールは「火星をテラフォーミングしてそこに10億の人々を送るよりも小惑星の衝突をなんとか免れるすべを見つけたり、ウィルスの場合は血清を見つける方が簡単ではないか?」と問いかけます。

それに対してのホーキング博士の回答がこちら。

“Collision with an asteroid is one of the least of the dangers we now face. The last collision was 70 million years ago. Nuclear war, climate change, and pollution, are now much greater threats. Of course, it would be impossible to move the population of the Earth to a new planet, but if we can establish independent self-sustaining colonies in space, it would ensure the survival of the human race, in the event of a disaster on Earth. Leaving Earth will also give us a new perspective, and cause us to look outwards rather than inwards. It would also unite us, to face a common challenge.”

確かに問題は小惑星衝突やウィルスだけでなく、核戦争や気候変動、環境汚染など私たちにはたくさんの課題があります。

後半に述べている”Leaving Earth will also give us a new perspective, and cause us to look outwards rather than inwards. It would also unite us, to face a common challenge.”なんてまさにその通りだと思いませんか?

火星含め他の惑星に移住するというのはただの「文明の発展」ではないと思います。

ドキュメンタリードラマ『MARS(マーズ 火星移住計画)』を見た時にも感じたことなんですが、一部の人が火星に行き、そこで人類が繁栄していきます。

そしたらそこで生まれた人たちなんかはもう「火星人」なんですよね。ここで私たちの中に「地球人」「火星人」という概念が生まれます。

またこれってさんざん歴史で繰り返してきたことですよね。例えば日本では黒船来航まで「日本人」という意識は希薄だったと思います。

それまでは「長州人」「薩摩人」など地域としてのアイデンティティが強かったですが「異国」からの危機感がきっかけとなり、島国で争っている場合ではなく団結すべきという考えが生まれ、「日本人」というアイデンティティが生まれました。

つまり人類が火星に行くことで今の私たちにはない「地球人」としてのアイデンティティが生まれ、団結することで良い方向にシフトしていけるんじゃないかとホーキング博士は言っています。

今でも国内では「関東人は〜、関西人は〜」とか「〜県人は」なんて言ったりしますが、それと同時に私たちは「外国」の存在によって「日本人」また「アジア人」としての意識も持っています。

すでに私たちの技術ではとっくに火星に行くことは可能であり(じゃあなんでまだ行ってないの?みたいな話は『MARS』を見ればわかります)、ミチオ・カク氏によると2030年には火星行きの船が飛び交っているらしいので、地球人としての意識を持つ日もそう遠くはないかもしれませんね。

“Do you have any sense of what religion will be in the future of civilization?”

宗教はかれこれもう数千年ものあいだ、私たちのまわりを取り巻いています。

今後この宗教は一体どうなっていくのでしょうか。

この問いかけに対するホーキング博士の回答がこちら。

“Religion was an early attempt to answer the questions we all ask: Why are we here? Where did we come from? Nowadays, science provides better and more consistent answers, but people will always cling to religion because it gives comfort, and they do not trust or understand science.”

it gives comfort” はかなり大きな要因ですよね。日本人の自分からしたらあまりピンと来ないですが、メンタル面で考えると特に何もない人と「心の拠り所」がある人とでは物事の受け止め方などが変わってくると思います。(あくまで一例ですが)

いろいろな側面があるので一概には言えないですが、日本で自殺者が多いのはこういった面も影響しているんじゃないかなと個人的には感じます。

ところで、科学的観点でこの世界を捉えることは特定の人たちにとっては冷たい印象を与えますが、ジャナはむしろ逆だと言います。

“Don’t you feel a sort of surge of excitement, thrill and the connection of the universe just to know that even though we’re stuck on this silly little rock that were able to know that? That’s stunning.”

地球のことをthis silly little rockと言うのは面白いですね。笑 stuckしているという表現も面白いです。

また、このトピックでミチオ・カク氏は人間は遺伝的に迷信を信じるようにプログラムされているという話をします。

これに対しジャナは“That’s why…” と言いながら机を叩きます。

この行為はみなさんご存知でしょうか。

これは「Knock on wood」といいます。ドラマ『ハウスオブカード』ではフランクがよく拳で机をノックしてますね。

Knock on woodは英語圏に伝わるおまじないのようなもので「幸運が訪れるように」や「不幸を避けるように」といったような意味を表します。

似たようなものでいうとfingers crossedなんかもありますね。

“So the course of your life you’ve had it sort of unique perspective on science, on technology, endurance. if you sum that together and offers some insight for us?”

ニールタイソンはホーキング博士に対して私たちに何か助言はないだろうか、と問いかけました。

これに対するホーキング博士の回答がこちら。

“We must all do the best we can in whatever situation we’re in. Never give up.”

シンプルな回答ですが、ホーキング博士が言う“Never give up”には心打たれますね。

最後に

このエピソードの締めでニールタイソンが少し語る場面があります。これがまたよかったのでここに記しておきます。

“How could you not just wonder what’s going on inside this guy’s head. I think our greatest gift as a species is not our body. We’re not the fastest, we’re not the strongest. Our body hardly distinguishes itself in any way in the animal kingdom. Our greatest sort of gift in the Tree of Life is our mind. And perhaps no one knows that better than Stephen Hawking. And so mush so that he does not take his mind for granted enabling him to go places that we might never even dream of. Simply because he has power of mind where he has power from no other part of his body. So maybe it is we who are imprisoned thinking our body matters when in fact at the end of the day. It’s really all about your thoughts, all about your dreams, all about how we react to our life experience in this world and share it with others. that is cosmic perspective.”