ヨーロッパの老舗カフェとそこに通った著名人【珈琲のはなし】

そもそもコーヒーはエチオピアで発見され、最初は中東で飲まれるようになりました。

最初にできたコーヒー店はトルコのイスタンブールと云われています。

イブリックと呼ばれる専用の鍋に挽いた豆と水、砂糖を加え、一緒に煮立てるのがTurkish coffee(トルココーヒー)の特徴です。

出典:Wikipedia

そしてその後、トルコからイタリア、フランス、イギリスそこからドイツへとヨーロッパ中に広がっていったわけです。

ヨーロッパにやってきたコーヒーは人々の生活に大きな影響をもたらします。

それがカフェやカフェレストラン、コーヒーハウスです。

カフェやコーヒーハウスはただコーヒーを飲む場所としてではなく、人々が交流、議論する場として文化的、社会的な機能として発展していきました。

こうした経緯もあってイタリアにはカフェ、フランスにはカフェレストラン、イギリスにはコーヒーハウスがたくさん軒を連ねました。

ただヨーロッパの老舗カフェといっても、それはもうとんでもない数があるわけで。

なので今回の記事ではイタリア、フランスを中心に歴史あるカフェや、カフェレストランそしてそこに訪れていた文化人や著名人を紹介します。

ヨーロッパ最古のカフェ / Caffè Florian(カフェフローリアン)【ヴェネツィア】

出典:Wanted in Milan

Venezia(英語ではVenice、日本語ではヴェネツィア、ベネチア、ヴェニスなど)にある1720年創業のカフェフローリアンはヨーロッパ最古のカフェと云われています。またここはカフェラテの発祥の地としても知られています。(すごすぎ)

ヴェネツィアは『水の都』としても知られていますね。

ローカルの人(ヴェネツィア人)で通っていた著名人は1000人の女性と関係を持ったと云われるカサノヴァ、劇作家のゴルドーニ、彫刻家のアントニオ・カノーヴァなどで当時は社交場としての要素が強かったようです。

他にもディケンズをはじめとしてチャップリン、アルトゥール・ルービンシュタイン、クラーク・ゲーブル、モネなど様々なジャンルの著名人、文化人が訪れていて挙げていったらきりがありません。

ローマ最古のカフェ / Antico Caffè Greco(アンティコカフェグレコ)【ローマ】

出典:The Guardian

Roma(英語ではRome、日本語ではローマ)で最も古い歴史を持つ老舗がアンティコカフェグレコで、国内ではカフェフローリアンに次ぎ2番目に古い歴史を持つカフェとして知られています。

ゲーテ、アンデルセン、ワーグナーやリストやロッシーニなど多くの詩人や作曲家が訪れていました。

エスプレッソの聖地 / Caffè Gambrinus(カフェガンブリヌス)【ナポリ】

出典:Wikipedia

Napoli(英語ではNaples、日本語ではナポリ)はエスプレッソ発祥の地とされていて、その中でも老舗として知られているのがカフェガンブリヌスです。

オスカー・ワイルド、ダンヌンツィオ、ベネデット・クローチェなど。ヘミングウェイも通ったと云われています。

『The Old Man and the Sea(老人と海)』で有名なヘミングウェイは様々な国に住んでいたのでこのあと紹介するパリのカフェでも登場します。ヘミングウェイといえば、晩年はキューバで過ごしていてモヒートのイメージが強いですよね。

学生時代に課題で『老人と海』を原書で読んだのを覚えています。

パリ最古のカフェ・レストラン / Le Procope(ル・プロコープ)【パリ】

出典:Le Parisien

Paris(パリ)で最も古い歴史を持つ老舗のカフェ・レストランがル・プロコープです。

ル・プロコープはイタリアのシチリア島出身のフランチェスコ・プロコピオによって開かれました。

ヴォルテール、ルソー、ドゥニ・ディドロ、ポール・ヴェルレーヌなど多くの著名な詩人が訪れています。

パリ南部モンパルナスにあるカフェ・レストランは芸術家の溜まり場であった

当時モンパルナスには世界中から芸術家が集っていました。

今回はその一部を紹介します。

Le Dôme(ル・ドーム)

出典:Wikipedia

パブロ・ピカソ、アメデオ・モディリアーニなど多くの画家が訪れていました。

岡本太郎もそのうちの一人です。

Le Select(ル・セレクト)

参照:Wikipedia

ル・ドームと同様、ピカソや藤田嗣治、ヘミングウェイなども通っていました。

ル・ドーム、ル・セレクト以外にもLa Coupole(ラ・クーポール)、La Rotonde(ラ・ロトンド)、La Closerie des Lilas(クロズリー・デ・リラ)などがあります。

ロバート・キャパもそのうちのひとりで、パリのこのエリアでゲルダ・タローと出会っています。

ちなみにゲルダ・タローの「タロー」は岡本太郎からきています。ゲルダは岡本太郎と出会った時にその名前の響きに魅かれ、ゲルダ・タローと名乗るようになりました。

写真家であるロバートキャパは定住することなく、世界中を飛び回り続け生涯を終えた人物です。

学生時代はキャパ関連の本も読み漁っていました。

Café de Flore(カフェ・ド・フロール)【サン・ジェルマン・デ・プレ】

出典:Wikipedia

モンパルナスから近いサン・ジェルマン・デ・プレにあるカフェドフロールも多くの芸術家が集っていました。

自分もパリに行った時にこの辺り一帯をまわりましたが、今でも多くのカフェは営業しており当時の面影を残しています。

英国最古のコーヒーハウス / The Grand Cafe(グラン・カフェ)【オックスフォード】

出典:Daily Info

イギリスではオックスフォードを中心としてコーヒーハウスが普及し、その後ロンドンでも広がっていきました。

最初に普及したオックスフォード中でも最も古いカフェはこのグランカフェと云われています。

ドイツ最古のカフェ / Coffe Baum(カフェ・バウム)【ライプツィヒ】

ドイツで最初にできたのはライプツィヒにあるカフェバウムです。

シューマンやバッハ、ワーグナーなど多くの作曲家が訪れていたそうです。

最後に

ということで今回はヨーロッパの老舗カフェについてまとめてみました。

今ではスペシャルティコーヒー文化が盛んで、多くのコーヒーショップでは厳選されたこだわった豆を使用しています。

私たちも主にその豆に注目しているわけですが、それはあくまでコーヒーの楽しみ方のひとつに過ぎません。

日本にもコーヒーを提供する老舗は「喫茶店」としてたくさんあります。

たまにはこういった歴史あるカフェを巡り、コーヒーを味わいながら当時の雰囲気を感じてみるのも面白いかもしれません。