最近思ったことがある。
それは「日本人はまだ英語で悩んでいるの?」ということ。
この感覚はドイツに住み始めてからドイツ語を学びそして話すようになり、トリリンガルとなってから感じるようになった。
ちなみに、大前提としてこれは「英語が話せるようになりたくて英語を勉強しているという人」を対象として書いている。
個人的に日本人皆が英語を話せるようになった方がいいなんて思わないし必要もない。
日本人が英語を話せないことによって海外からのハードルが高く今の日本社会が守られている側面もあるだろう。
さて、トリリンガルというとおそらく日本の一般的な感覚から言えばすごいと感じると思う。
自分も日本に一時帰国した際に一部の人から「ドイツ語も話せるの!?」と驚かれた。
しかしヨーロッパ、念の為主語をもう少し小さくすると、少なくてもベルリンでは全くすごいことではない。
むしろ一つの言語しか話せない人の方が稀である。
EU圏生まれの人たちは圏内で自由に好きな国に住める、かつEU外からの移民の人たちも多いためベルリンにはいろんな人たちが住んでいる。
例えばイタリア人やポルトガル人を例に挙げてみると、彼らは母語のイタリア語やポルトガル語とともに英語、現地の言語であるドイツ語を話すのでトリリンガルとなる。
つまり非英語圏を対象とした際、その国に移り住んでいた移民の人たちは自動的にトリリンガル(現地の言語+母語+英語)となるのである。
ここで一つ疑問が湧くことだろう。
「英語圏でもないのにその人が英語が話せる前提で決めつけてしまうのは暴論であろう」と。
もちろん例外はいて、高齢者の方であったり若者でもそういった英語があまり上手ではないという人は一定数いる。
しかし、体感では大体の人は英語が話せる。
そう言い切れるくらいおおよその人たちは英語が話せるものなのである。
そしてこれはすごいことでもなんでもなく、算数ができる、みたいなそんな当たり前の感覚で。
自分の場合はドイツ人と会話する時はドイツ語を使うが、そうでない場合は基本英語がベース、日本人と話す時は日本語を使うといったように相手に合わせてスイッチする。
これはなんら特別なことわけなく自分の住むこの世界では至極普通のことであり、各々が複数の言語を扱い、各々がその人に合わせてその都度言語をスイッチして話す、そんな世界なのである。
そしてこれはベルリンが特別なわけではなく、ヨーロッパの国の首都というのはそんなものなのだと思う。
なので逆にこっちで英語を解せない人に出会うと「いったいこの人はどんな人生を歩んできたのだろうか」と驚くことがある。
一つ補足しておくと、「ドイツ人は英語が話せないじゃないか」という意見もあると思う。
これはフランスでもよく聞く話。
確かに本当に英語がわからない、という人もいる。
しかし個人的見解としては彼らは英語は「話せない」のではなく「話さない」のだ。
つまり話さないという意思のもと話さない、選択である。理由はプライドがどうとか、ここはドイツなんだからドイツ語を話せ、などいろいろあることだろう。
さて、ヨーロッパというのはとにかくそのくらいいろんな人たちがごった混ぜなのでおおよそ世界共通で通じ合うことのできる英語を使うことへのハードルは非常に低いように感じる。
そうした時にふと思うのだ、いまだに日本人が英語程度のもので悩んでいることに。
なぜだろうと。
中学生(今の人は小学生から?)から英語に触れてきて、他の国の人たちに比べたらよっぽど単語や文法にも詳しいはずなのに実際に英語を話す機会が少ないというだけで話せないというのは非常にもったいないなと思う。
こう考えると、じゃあその「英語は難しい」という固定概念をどう打開できるか、それはやはり海外に出るしかないのかなという結論に至る。
個人的な意見としては英語なんて日本にいながら十分話せるようになれると思うし実際そういう人は多くいる。
いるものの、皆が皆都市部で生活していてそういったサービスにアクセスできるわけではないし、結局日本にいたら日本語で生活できてしまうのでよほど気合いと貪欲さがないとなかなか難しいもので一部の人にしか実行不可能なのだなと実感している。
個人的に英語が目的で留学やワーホリをするというのはよくわからないというか、それは事前に日本で済ませておくものでせっかく海外でいろんなことができるのにお金と時間がもったいないなと思うが人それぞれ違った人生があるわけであまり英語に触れることなく生きていた人が大半であろうから一概にそうとは言えない。
なので海外に出て、日本語が使えない環境で家探しや仕事探しでもがき苦しんだり、思ったように友達ができなくて孤独になったり、たくさんの人との意思疎通に苦しんで、苛立ったりしてプライドがズタボロになりながらも生きていくという経験が必要なのかもしれない。
結局何が言いたかったのかというと、英語に対してそんなに難しく感じる必要は全くないということ。
周りを見渡したら英語を話せるという人は少ない(もしくはいない)かもしれないけれど、それは自分も日本にいた時全く同じ環境であった。
もしかしたらヨーロッパという環境が変わっているのかもしれないけれど多少話す時に発音がおかしかろうと文法が間違っていようとそんなのいくらでも後から修正できるしまずは一歩ずつ進んでいくところからやるしかないのかなと。
こっちではあなたよりも発音や文法もめちゃくちゃで時たま何を言っているのかわからない人がごまんといるが、そんな人も自信満々に話している。
初心者に関しては進め方はいろいろあると思うので各々が自分に合ったやり方を見つけてコツコツやっていくしかない。
だいぶぶっ飛んだアドバイスになるかもしれないが中級者で悩んでいるという人は思い切って第三言語を学んでみるというのも面白いかもしれない。
これはバイリンガルではなくトリリンガルにしかわからない感覚だが、第三言語となるとより英語というものが数ある選択肢のうちの一つとしての「言語」としてより俯瞰的に見えるようになる。
これによって英語の見え方が変わるし、より言語レベルでの理解力が深まって結果的に英語力は伸びるはず。
自分は英語と日本語しか話せなかった時よりもドイツ語も加わった今の方が英語が持つ特有のイントネーションがわかるし表現の幅も増えた気がする。