以前デヴィッドボウイについて書いた際、記事の最後に曲『Where Are We Now?』を紹介しました。
芸術家トニー・アウスラーが手がけたこのMVではデヴィッドボウイが住んでいたアパートメントも出てくるんですが、歌詞にもベルリンの地名や通りの名前、特定の場所などがいくつか出てきます。
今回はこれらを紹介しようかなと。
ところで、皆さん「Genius」ってご存知ですか。
Geniusではアルバムのコンセプトや歌詞の意味などを知ることができます。音楽に特化したウィキペディアみたいな。
ウィキペディアと異なる点としてはアーティスト本人が解説しているものも多くあります。(なので面白い)
元々このサイトはラップのリリックなどを専門に解説しているものでしたが、現在ではジャンル問わず幅広い音楽を扱っています。(当方はヒップホップも聴きます。というか音楽の入り口でした)
ラップに限らず音楽全般にいえることですが、ただ歌詞の文面を追うだけではわからないことって結構あるんですよね。
なのでこういったサイトをチェックすることによって読むだけではわからないことが知れたりして非常に学びが多いです。
「ヒップホップ」という部分でいうと、アルバム『Blackstar(ブラックスター)』はKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)の影響を受けていますよね。これもデヴィッドボウイのすごいところ。
といったところで、曲『Where Are We Now?』に出てくるロケーションをまわってきたので早速紹介していきます。
『Where Are We Now?』の歌詞に登場するロケーション
Potsdamer platz(ポツダム広場)
Had to get the train
From Potsdamer Platz
You never knew that
That I could do that
Just walking the dead
まずはじめに出てくるのがPotsdamer platz(ポツダマープラッツ)。
ポツダム広場はミッテ区にあります。
こちらは駅。
元々ポツダム広場は中心地でしたが、第二次世界大戦により建物の多くは破壊されます。
1989年にベルリンの壁が崩壊、翌年1990年に東西ドイツが統一されたのち、ポツダム広場は再開発が行われました。
デヴィッドボウイがベルリンにいたのは1970年代後半、つまり再開発が行われる前なので今とは全く様子が異なります。
デヴィッドボウイがいた当時は完全に荒地の状態でした。
今ではソニーセンターやモールオブベルリンなど商業施設があったり。
あと駅ナカにアジア系の食料品を売っているお店もあるので、個人的にはよく行く場所の一つです。(ロンドンのナチュナチュが恋しい)
The Dschungel(ジャングル)とNürnberger Strasse(ニュルンベルガー通り)
Sitting in the Dschungel
On Nürnberger Strasse
次に出てくるのがThe DschungelとNürnberger Strasse。
“ジャングル” を意味するThe Dschungelは1970年代にあったナイトクラブ。
ここでデヴィッドボウイはイギー・ポップやニック・ケイヴ(オーストラリア出身のシンガーソングライター)、シャーデー(イギリスのバンド)、カルロス・サンタナ(アメリカのバンド、「サンタナ」の人ですね)、フランク・ザッパらとつるんでいたそう。(豪華)
Dschungelには他にもたくさんのアーティストが訪れています。(英訳したものを載せます)
The international guests who visited the jungle during their stays in Berlin included Frank Zappa, Mick Jagger, Prince, Grace Jones, Depeche Mode, Liza Minnelli, Bette Midler, Boy George, Sylvester Stallone, Hildegard Knef, Michel Foucault, Claude Brasseur, Robert Mapplethorpe and Barbra Streisand.
Dschungel Berlinより引用
すごい面々ですね。
がしかし、現在Dschungelはもうありません。
参考 The Dschungel BerlinTHE DSCHUNGEL BERLIN
公式サイトに設けられているHistoryのページによると、The Dschungelがあった場所は今Ellington Hotel(エリントンホテル)になったと書かれています。
その場所に訪れてももうないんですが、一応行ってきました。
こちらは最寄駅のWittenbergplatz(ヴィッテンベルクプラッツ)。
そしてこれがかつてDschungelがあった場所、現エリントンホテルです。
歌詞にもある通り、Nürnberger Straße(ニュルンベルガー通り)に面した場所にありました。
ちなみにですがStraßeとはroad、streetの意味で、歌詞ではStrasseと書かれていますが、ドイツ語の「ß」は「ss」でも表記(代用表記)できます。
KaDeWe(カー・デー・ヴェー)
A man lost in time
Near KaDeWe
Just walking the dead
続いてKaDeWe。
KaDeWe(カー・デー・ヴェー)はKaufhaus des Westens、創業100年以上の歴史を誇るドイツ随一の巨大デパートのこと。(略してKaDeWeと呼ばれる)
欧州だとロンドンのハロッズに次ぐ大きさらしいです。(ロンドン住んでいたのに入ったことない)
こちらは先ほど紹介した駅、Wittenbergplatzを出たらすぐ。目の前に現れます。
Bösebrücke(ベーゼブリュッケ)
20,000 people
Cross Bösebrücke
Fingers are crossed
Just in case
Walking the dead
最後に、Bösebrücke。これは橋の名前です。
最寄駅はBornholmer Straße(ボルンホルマー通り)。
駅を出るとすぐ目の前にその橋があります。
こちらがBösebrücke(ベーゼブリュッケ)。
この橋はかつての東ベルリンと西ベルリンの国境にあたります。
歌詞に書かれている2万人とはベルリンの壁が崩壊した1989年11月9日に橋を渡って国境を越えた人々のことを指しています。
最後に
というわけで、今回は歌詞に登場するロケーションを巡ってみました。
この記事を書こうと思ったそもそものきっかけは単にデヴィッドボウイが好きだからというただそれだけの理由だったんですが。
実際にいろいろとその場所をまわってみて、結果的に少しばかりですがドイツの辿った歴史に触れることとなりました。
また、こうしてあらためて『Where Are We Now?』の歌詞に注目してみると、ただただ聴いていた時には気づけていなかったメッセージにも気づけた気がします。