ドイツに住み始めてから気づいたベルリンに根付くトルコのコーヒー文化【イブリックコーヒーとは】

ドイツでは過去に様々な国からの移民を多く受け入れてきました。

そういった歴史的背景もあり多様な文化が存在するんですが、なかでもトルコ系の方々が多く暮らしています。

食に関して、筆者がベルリンに来てまず感じたのがケバブ屋の多さ。

至る所で見かけるので「なぜなんだろう」と疑問だったんですが、そういうことだったんですね。

現地に長年住まれている方からしたら「何を今更。」という感じだと思いますが、ベルリンにはたくさんのケバブ屋があります。

ケバブは日本でも人気でよく見かけるので今では日本人にもわりと馴染みのある食べ物だと思います。

正直自分の場合はこれまであまり食べる機会がなかったので、こっちに来てから食べるようになりました。(なのでドイツと日本のケバブに違いがあるのかは不明)

この動画ではベルリンで食べられるおすすめのケバブを次々と平らげながら紹介しています。(満腹中枢なし、胃酸過多この上なし)

ここでも述べられている通り、ベルリナーにとっては小さい頃から慣れ親しんだ、いわばソウルフードのような存在だそう。

なかでも三番目に紹介している「Mustafa’s Gemüse Kebap(ムスタファズ・ゲミューゼ・ケバブ)」は超人気店。

ここは日本人の方々もよくレビューしてますね。いつも長蛇の列らしい。(グーグルのレビュー件数も一万越えしてます)

ケバブにもいろいろ種類があるんですが、本筋と逸れるのでまた次の機会にでも。(動画でも紹介されているように種類によっては通常が超特大サイズのものもあります)

さて、まぁここまではベルリンに住んでいる方ならすでに皆さんご周知の上だと思うんですが、実はこういったトルコの食文化はドイツのコーヒーカルチャーにも大きく影響を与えているんです。

最も古く歴史のある抽出方法のひとつ、イブリックコーヒー

食に関して、ベルリンにやってきて感じたもうひとつのことがこの「イブリックコーヒー」。

ドイツではイギリスに劣らずコーヒー文化が盛んです。

筆者はよくスペシャルティコーヒーを扱うコーヒーショップに赴くんですが、いくつかの店で「Ibrik」と書かれてあるメニューを見かけました。

イブリックコーヒーとはトルココーヒーのこと。

実は以前に記事で軽く紹介しています。

ここでも書いたように、コーヒーはエチオピアで発見されたのち中東で飲まれるようになり、その後イタリア、フランスと西欧にも広まっていったのでイタリアのエスプレッソよりも歴史があります。

その歴史、なんと約500年。

抽出方法はシンプルで、細く挽いたコーヒーの豆を煮出してカップに注ぐというもの。

これだけ古くからあるイブリックコーヒーがスペシャルティコーヒーの世界に受け入れられており、それがまたドイツで、というのが面白くないですか。(いろいろと調べてみるとイブリックはドイツだけではなくフランスとかでもあるみたいです)

世界大会、World Cezve/Ibrik Championshipというのも行われています。

こちらの動画では “specialty Turkish coffee” と紹介しています。

“It’s a new way and contemporary approach to traditional brew method. Which is Turkish coffee or Cezve/Ibrik coffee.” ということで、抽出において伝統的なイブリックコーヒーとはいくつか違う点もあるらしい。

せっかくなので、一応元バリスタである筆者が簡単にその抽出方法をみていきます。

まずはじめに、一定時間水に浸して抽出するので淹れ方の種類としては浸透法(Immersion Brewing)となります。

コーヒー豆の使う量が「7g」ということで、フィルターコーヒーなど他の抽出と比較すると少なめですね。(エスプレッソのシングルショット相当)

この動画の一つ前に貼ったチャンプも同じ豆の量を使っていたのでイブリックではこのぐらいの量を使うのが一般的なよう。

次にグラインドサイズ、こちらは極細挽き。

理由としてはフィルターを通すわけではなくカップにそのまま挽いた豆も入るのでカップの底に沈ませるため、と。

解説で言っていることをそのままなぞる形になってしまいますが、この淹れ方において気をつけなければならないのが過抽出(over extraction / オーバーエクストラクション)。

極細挽きかつフィルターを通さないので、過抽出になりやすく難易度が高いといえます。

ここではお湯を沸騰する温度まで持っていかないようコントロールしたり、ステアを控えめにしたりなどの工夫で過抽出を防ぐようです。(ちなみに対義語は未抽出(under extraction / アンダーエクストラクション)といいます)

ratioは1:10ということで70g、60℃の水を使用。火にかけてからのトータルの抽出時間は約2分。

ラスト1分では弱火にしたりなど火力調整を行います。(先ほど述べた過抽出を防ぐため)

伝統的な抽出方法ではしっかりと沸騰させ、砂糖やスパイスを加えて飲むそう。(沸騰させることによってより苦味が出てバランス良くなる)

2分が経過するとフォームが上昇してくるので、縁まで届いたら終わり。カップに注ぎます。

最終的な温度は92-94℃。2-4分のあいだ待って冷ましたら飲み頃となります。

抽出時間を考えるとしっかりとしたコーヒーの味わいがしそうですが、ratioが1:10なので意外とすっきりしているのかな。

またフィルターを通していないのでより豊かなコーヒーの香りが楽しめそうです。

最後に

ということで、日本やイギリスのコーヒーショップではなかなかお目にかからないイブリックコーヒーについていろいろとまとめてみました。(探せばあるのかもしれないけれど)

興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。

ただある程度コーヒーを淹れるのに慣れている人がいいかも。