ドイツ・ベルリン現地での就労ビザ取得の流れ【申請から手続き、そして手元に届くまで】

ちょうど一年前にドイツに入国し、現在に至るまでの過程をまとめてきました。

今回はどのように就労ビザを申請し、そして取得したのか。

そのプロセスを具体的に書いていこうかなと。

注意

話に入る前に一点だけ。

これは2021年時点での情報となります。同じビザを一年前の2020年に申請した方と現地で知り合ったんですが、申請方法は全く異なりました。

申請される方はこれから紹介する外国人局のホームページにてしっかりとご確認されることをおすすめします。

また申請方法や必要書類は住んでいる地域によって異なるようです。

今回まとめるのはベルリンにおける申請方法なので別の地域にお住まいの方は参考にならないかもしれません。

ご自身の住まれている地域の外国人局のページをチェックしましょう。

また、つまるところ結局は外国人局の担当職員の裁量次第であり、この記事の内容はビザ取得を保証するものではないのでその点ご了承下さい。

ベルリン現地での就労ビザ取得の流れ

申請方法と必要書類

一度調べたことのある方なら共感していただけると思いますが、申請するにあたって「誰が行うのか」という点がまず疑問ではありませんか。

あなたを雇っている会社なのか、はたまた自分で行うものなのか。

これに関しては会社がその手続きを済ましてくれるパターンもあるようです。

以前にも書きましたが、自分の場合は勤め先で前例がなかったので自分自身で行うことに。

「ビザサポートするよ」と会社から言われつつも、その方法がわからずにずっと待っているという方もいるかもしれません。(私もそうでした)

ですが、待つ必要は全くありません。すぐに行動することをおすすめします。

というのも、書類集めから最終的にビザが手元に来るまでかなりの時間を要します。

自分はビザが切れる三、四ヶ月前から準備を始めましたが、けっこうぎりぎりでした。(わずか一週間余りで用意できてしまったワーホリビザとは大違い)

別にワーホリの期間が残っていてもそれを使い切る必要はないので、早めに切り替えてしまうのがいいのかなと思います。(いつビザのルールが変更になって取得が厳しくなるかもわかりませんし)

また、この記事にたどり着いた方のなかにはすでに他の方が書いている就労ビザの取得方法についての記事を読まれた方もいるかもしれません。

他の方も書いている通り、厳密にいえば「就労ビザを取る」というのは「滞在許可」及び「労働許可」を取ることを意味します。

この二つの許可を得ることによってようやく意味を成す、と。

しかし実際に調べてみると滞在許可の申請については書いてあるものの、労働許可の申請の仕方がよくわからないんですね。

これについて(自分の認識が間違っていたら申し訳ないのですが)私の知る限りではImmigration office(外国人局)で「Residence permit(滞在許可)」を取るプロセスの中で外国人局の方が労働許可の手続きをしてくれるので、基本的に自分自身で行う作業というのはこの「Residence permit」を取ることになります。

もしかしたらビザの種類によって異なる部分があるかもしれませんが、少なくとも自分が行ったのは「Residence permit」の申請だけでした。

それでは、早速見ていきましょう。

申請を行うのは当然、Immigration office(外国人局、Landesamt für Einwanderung)となります。

こちらがそのウェブサイト。

参考 Landesamt für Einwanderung

英語に切り替えられるのでドイツ語が苦手な方は切り替えてしまいましょう。

「Our services」→「All services in alphabetical order」→アルファベットの「R」の一覧を見てもらえると “Residence permit” でたくさんの種類の滞在許可が出てきます。

ご覧ください、この数の多さ。

スクショに収まりきらなかったのでこれは一部。

学生ビザからワークビザ(就労、フリーランスなどなど)、仕事を探すためのビザなどとにかくたくさん。(これだけ豊富だからドイツを選んだといっても過言ではない)

その中でもざっくりと働くためのビザをまとめてみるとこんな感じ。

リンクに飛ぶとそれぞれ条件や必要書類が記載されているので、ご自身に合ったビザを選択されるといいのかなと。

ちなみに、自分は『Residence permit for qualified skilled workers with an academic education』にしました。

なかなか恐れ多い名前ですが、決してそんな高度な内容の業務を行う職種に就いているわけではなくて。消去法でなんとなくこれを選びました。

別にドイツ国外で専門的な資格を持っているわけでもありませんし、vocational training(これはおそらくドイツにある制度「アウスビルドゥング」のこと)も受けていません。

ビザの種類によっては条件の一つにドイツ語検定試験のA2以上の証明というのもありましたが、そういったものも一切持ち合わせておりません。

なのでこの選択肢の中で考えてみると、自分はこの大卒という資格を使うものしか当てはまらなかったんですね。

この辺りのことについてはまた後述します。

さて、ではその要件を見ていきます。

  • Valid passport
  • Employment contract
  • Proof of qualification as a qualified skilled worker with academic education
  • Form “Erklärung zum Beschäftigungsverhältnis” (filled out)
  • Form “Antrag auf Erteilung eines Aufenthaltstitels” (filled out)
  • Occupation practice permit (Only if required)
  • Lease or proof of home ownership
  • Rental cost / expenses for property
  • Certificate of employment (Only in case of extension)
  • Proof of salary: Where the temporary residence permit is extended for further employment with the same employer
  • Health insurance
  • Proof of main residence in Berlin

Valid passport」と「Employment contract」は大丈夫ですね。これがなかったらそもそも話にならないので。

Proof of qualification as a qualified skilled worker with academic education」については自分は大学の卒業証明書を英文で用意しました。

あとページにも記載されている通り、あなたの出身大学はドイツの高等教育に匹敵し、認められるものでなければなりません。

これはZABという機関が評価をしているんですが、自分で調べることができます。

参考 anabin

こちらのウェブサイトにて母校の大学を検索し、そのページをプリントアウトして持っていきました。

Form “Erklärung zum Beschäftigungsverhältnis” (filled out)」と「Form “Antrag auf Erteilung eines Aufenthaltstitels” (filled out)」は申請書類になります。

必要事項を記入して持参しましょう。ビザの詳細が書かれているページの下からダウンロードできます。

ドイツ語のみで書かれていたり、会社情報を記載する箇所もあるので、ご自身で用意される方でドイツ語に自信のない方は会社の方に聞きながら記入していったらいいと思います。

Occupation practice permit (Only if required)」は医師など、働くにあたって資格が必要な職業の方に向けてのもの。多くの方はスルーして問題ないでしょう。

Lease or proof of home ownership」について。

今住んでいる家を借りる際に、互いにサインした契約書など大家からいくつかの書類を受け取りました。

そのうちのどれがこれに該当するのかよくわからなかったのでとりあえず全て持っていったんですが、「Untermietvertrag für Wohnräume」と書かれた書類でいけました。(もしかしたら借りる家や大家によって多少異なる場合もあるかも)

Rental cost / expenses for property」については自分の利用している銀行口座のステートメントを持参。

アプリからすぐにダウンロードできます。

Certificate of employment (Only in case of extension)」、これは延長の方なので初めて申請する方は気にする必要なし。

Proof of salary」についてはこれまでもらった給与明細をすべて持っていきました。

具体的な数字についてはよく知らないのですが、一応収入額にボーダーラインが設けられているようです。(なので月に稼ぐ額が低すぎると出直しになるかも)

Health insurance」は健康保険証を持参。

Proof of main residence in Berlin」は住民登録した時の書類を用意しました。

最後に。

この必要書類には書かれていないのですが、知人から聞いた情報で「勤め先からのレコメンデーションレターが必要」ということだったので会社に頼んで用意してもらいました。

外国人を雇ううえで「なぜあなたでなければならないのか」という旨の手紙を提出した方がいいそう。

本当のところ必要なのかどうかは定かではありませんが、あるに越したことはないかも。

外国人局のビザ申請の予約はいつも埋まっている?

ビザ申請するにあたっては今こういった状況ということもあり、現状予約が必須となります。

各ビザの詳細が書かれているページの下に予約するためのリンクが設けられているのでそこから予約を行います。

なんですが、基本常にいっぱいの状態で下手したら数ヶ月先まで埋まっていることもしばしば。

これは困りましたね。

なかには事前に半年先の空きを取っておく、なんて方もいるようですが、そんなことをする必要はありません。

キャンセル待ちを狙えばいいわけです。

必要書類の準備が整ったその日から予約ページを常にチェックしましょう。

必ずキャンセルする人が出てくるので空きが生まれます。

自分は住民登録の時もビザ申請の時もこの方法であっさりと予約できました。

いざ、外国人局へ

ここまできて、ようやく外国人局へ。

外国人局があるのはMierendorffplatz(ミアーエンドルフプラッツ)。

降りたらこの「B」のKeplerstrasseへと進みます。

全然関係ないけど、駅に貼ってあったポスターたち。

雰囲気がすごくベルリンっぽくないですか。

「Babylon」のポスターもありますね、おすすめの映画館。

肝心の外国人局の建物の写真を撮り忘れてしまいましたが、出口を出たらすぐ道路の向かいにあるのでご安心を。

待合室へと行くとビザ申請しにやってきたたくさんの人たちとともに、自分の番号が来るのはまだかまだかと待ち続けることになります。

その後、画面に自分の番号とともに部屋番号が表示されインタビューへと進みます。

ここでまた、海外でビザ申請をするにあたり大きな壁がやってきます。

それがドイツ語の壁。

事前にこのインタビューについて調べていて、かなりビビっていました。

外国人局のスタッフはドイツ語しか話さず、またかなり厳しいと。

内心びびりながら行ったのですが、担当スタッフの一言目「Have a seat, please.」で度肝を抜かれました。

英語じゃん、、、と。

二言目には「ドイツ語と英語どっちの方がいい?」と聞かれ、終始英語かつ親切で丁寧という神対応。

これまでにもブログに散々書いてきた通り、海外では入国にしろこういった手続きにしろ、とにかく上手く行くか行かないかのすべてはこの担当官に委ねられているので、どんな人物に当たるかは本当に運次第。

待合室にいるときに同じく申請に来ていた他の人から「英語で対応してもらえた」みたいな会話が聞こえてきたので2021年現在、特に外国人の多いベルリンではドイツ語でしかやりとりさせない鬼職員みたいなのはいないのかもしれません。

そもそもここはドイツなわけなので、本当は現地の言葉で手続きできる程度の語学力は最低限持っておくべきなんですけどね。(がんばります)

書類に問題がなければ申請料€100をキャッシュもしくはカードで支払って終わり。

あとはひたすら待つのみ

肝心の滞在許可証(Aufenthaltstitel)ですが、その場ではもらえません。

発行には数ヶ月かかります。(めちゃ長い)

しかし、それでは今持っているビザで許可されている滞在期限を過ぎてしまう場合もありますよね。

なので滞在許可証が届くまでの期間、「この人は何月何日まで滞在できますよ」という証明になる紙をもらえます。

あとはただただ自宅に送られてくるのを待つのみ。

はじめはパスワードなどが記載された手紙のみが送られてきて、その後カードが届くという流れだったんですが、自分の場合は大体二ヶ月待ちました。

この期間が本当にまだかまだかとドキドキ。

結局申請は無事できたもののこれが届かなかったら意味がないですからね。

さて、今回ビザ申請を進めて行くにあたって疑問点も浮かんできました。

それは「どのビザにも当てはまらない場合どうすればいいのか」ということ。

ビザのタイトルを見る限りでは大卒、アウスビルドゥング、専門資格、いずれもない場合、申請するビザがないようにも思えます。

ですが、そんなことはありません。

実際にはこういったものがない方もたくさん住んでいます。

ビザの申請書類を見てみると、こういった資格などを「なし」と記入できる箇所もあるので、ない方はとりあえず「Residence permit for qualified skilled workers with vocational training」で申請してしまうというのもありなのかなと思います。(確証はないので断言はできません。他の種類のビザについてはわからないのでご自身で調べてみてください)

最後に

というわけで今回はドイツでの就労ビザ申請についてまとめました。

ドイツで働き始めてすぐの頃、ビザについて知人に聞くと「Get a lawyer.」なんて言われて焦りましたがまったく必要ないと思います。(フリーランスビザとかになってくるとまた話は別)

これからドイツで申請されるみなさんの参考になればなと思います。